昭和元年から続く蒲鉾職人の技

日本で数少ない蒲鉾職人技の逸品「うず巻」

昭和元年から「蒸し蒲鉾」をひと筋に、
その弾力と歯応え、味の濃厚さを追及した一品が「うず巻」。

他店では焼いたガワ(外皮)が主流ですが、
当店ではガワづくりからうず巻を巻きあげるまで全ての手作業と、
一貫した「蒸し」で仕上げるこの製法は、日本でもほとんど見られません。

ガワのギザギザと粘りある蒲鉾が、手巻きによりしっかりとかみ合い、
まさに弾力がうずまく1本に仕上がります。

それを支えているのが、
川畑の職人技といえる「包丁さばき」なのです。

川畑蒲鉾店自慢の「うず巻」

均一に成形したガワ

うず巻 ~ ガワ(外皮)づくり

ガワはガワ板と包丁(刃無)を使い均一の厚さで仕上げます。
包丁は長いのが特徴ですが、蒲鉾づくりは温度との勝負であり、
この長い包丁に均等な力を素早く伝える
「包丁さばき」が求められます。

また包丁自体もしなりがあるため、
すり身の充填や部分的な成形など、
自分の手や指先と同じような感覚で扱える必要もあります。

この包丁さばきは、
長年の熟練により指先の関節が変形するほどであり、
川畑蒲鉾を支える貴重な職人技です。

その後、ガワ板のまま蒸器で蒸しますが、
その日の気温や湿度で微妙な調整を行います。

華麗なる包丁さばき

職人の証を示す逞しい手

うず巻 ~ 巻きあげ

蒸したガワを広げ、すり身をのせて素早く一定の厚さに整えます。
これも包丁さばきが重要で、すり身が波打ち状で不均一な厚さでは、
巻きあげる時にガワのギザギザとすり身が
かみ合わず弾力を失います。

巻きあげも締めながら行いますが、
締め具合と素早さが必要で、均等な巻厚と皮ギザギザのくいこみで
弾力ある「うず巻」へと仕上がるのです。

この手巻き作業は約40秒で1本が仕上がりますが、
繁忙期では1日600本以上を巻きあげています。

巻く前に皮を蒸し、干す

巻き上げる様子

うず巻 ~ 蒸しへのこだわり

川畑蒲鉾の「うず巻」は、
すり身90%以上の濃厚さを活かすため、
弾力と歯応えある「蒸し」にこだわっています。

とろみのあるすり身の成形は難しいですが、
決して焼かず、他のガワを使わず、
同じすり身からガワをつくり、巻きあげをし、蒸しています。

また、すり身の温度が0~5℃範囲で素早く造る必要があり、
職人の包丁さばきがあってこその「うず巻」なのです。

蒸しあげる様子

蒸し上がった「うず巻」